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第4回 3頭のゾーさん

PTA会長の仕事の中で最も大きな役割が入学式、運動会、卒業式の挨拶があります。
入学式

かわいいピカピカの1年生の入学式。全児童、全父母、その他関係者がいて1番緊張する運動会。厳かで未来へのエールを送る卒業式。何度も経験した中で、私が真和志小学校の会長時代の入学式での挨拶が忘れることのできない、最高に楽しい入学式がありました。
それは、今から5年前のこと、式服に身を包んだ新入生の約90人を前に“つづきましてPTA会長祝辞”と紹介され登壇しました。


そして第一声は「新入生の皆さ~ん真和志小学校には…なんと3頭のゾーさんがいます」と言うと、90名の子どもたちが、びっくりしたように目をクリクリキラキラさせながら、話しに食い入るように前のめりに成り見つめています。完璧につかみはOKです。つづいて本題に入り

「1頭目のゾーさんは~話しを聞くゾー!先生やお母さん、お父さんたくさんの人の話しを一生懸命聞きましょう」


聞くゾーのところでは、両手を耳の後ろに持ってゆき聞き耳を立てているポーズをすると、子どもたちの反応が、「このおじさんの言っていることが意味わからん」「どこにゾウがいるの?」と言う顔をしています。そんな反応を楽しみながら、どんどん続きます。

「2頭目のゾーは~見るゾ―!色んなものを、色んなところへ行ってたくさん、たくさん見て下さい」



見るぞ―のところでは、望遠鏡の形を目に当てて見回すようにしていると、子どもたちの反応が明らかに、つまらなそうな顔になり、前のめりに成っていた身体が完全に背もたれにもたれかかり、テンションが下がっています。その態度にもめげず、最後のゾーへ。

「3頭目のゾーは~いっぱ~い話すゾー!お友だち、先生、色んな人たちとたくさんお話し、楽しいおしゃべりをして下さい」



話すゾーのところでは、口元にラッパのようにしながら、子どもたちを見渡すと、なんと横を向いている子どもも何人かいて、中には身体ごと横向きの子もいました。壇上からその光景を見ていると、子どもの素直な態度に可笑しいやら、楽しいやら、大声で笑いそうになりました。子どもたちにはガッカリさせたかな~?と、ちょっと申し訳ない気持ちに成りましたが、ホントに子どもは純粋だと思いました。その子どもたちへの祝辞は結構保護者や先生方からも“面白かったですよ”と好評でした。

それから月日は流れ1年後の入学式がまたやってきました、2年間同じ話をすることはありませんでしたので、ドラえもんを題材にした話しをさせて頂きました。すると式の終了後にある新入生の保護者の方から、「大山会長、ゾーさんのお話し楽しみにしていましたのに、ドラえもんもいいですが、ゾーさん聞きたかったですねー」と言われ嬉しくなりました。自分の祝辞の中での最高傑作でしょう。

実はこの話には続きがあります。これは最近の話しですが、小学高学年の女の子が私の家の前で遊んでいました。私と眼が合うと、その子が「おじさん、象さんの話をした人でしょう」な・な・何とあの時のことを憶えていて話しかけてくるではありませんか。「憶えているの?」「うん、憶えているよ!」会長やっていてよかったなーっと思えた瞬間でした。

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